その時歴史が動いた
シリーズ青木大膳、空気読まずに二十週連続放送

第05回『青木大膳、実は空気を読む〜信虎追放真実の記録〜』

第05回予告
織田信長の面前で「鳴かぬのは 空気を読まないホトトギス」と言い放ち、信長を沈黙せしめたと言われる戦国時代の浪人、青木大膳。
彼の活躍によって駿河今川氏による甲斐・武田信虎暗殺計画が阻止されたとの説が浮上してきました。
武田信虎への復讐に燃える山本勘助が派遣されていながら武田信虎が無傷のままだったのは何故か。
静岡県歴史資料館で新たに発見された「天馬文書」から武田信虎追放劇に隠されたドラマに迫ります。
次回の『その時歴史が動いた』、「青木大膳、実は空気を読む」ご期待ください。



第05回本編
(松平定知アナ)
「えー、武田信玄はですね、父信虎を追放するに至ったわけでありますが、これでですね、えー、今川義元は非常に難儀する訳であります。ここで今川義元は、あの山本勘助と、青木大膳、更に庵原之政と、こういった人物達を使者に任じた訳ですが、それによって何が起こったのか、信虎はどうなったのか、さぁ皆さん、いよいよ、今日のその時でございます」

天文十年、信虎は、駿河を出発しました。
勿論、山本勘助、青木大膳らも同行しています。
甲斐の国境に差し掛かった信虎は、驚きます。
武田の兵に、国境を封鎖されていたのです。
信虎は是が非でも甲斐に入ろうとします。
しかし、信玄はそれを許しませんでした。
途方に暮れる信虎に今川家臣、庵原之政がかけた言葉が残されています。
「乱心するべからず。倅の謀反に身震いもする思いでしょうが、どうか心穏やかに、駿河へお引き返しください」

信虎は諦め、駿河へと引き返していきます。しかしその途上、思わぬ事態が起こりました。
「名は存ぜぬが隻眼の者、そなたから由々しき殺気が伝わってくる。この信虎に恨みでもあるのか」
こう言い放った信虎は、そのまま馬を走らせ、太刀を抜きました。
同じく、殺気を発していた山本勘助も、太刀を抜き、切り合います。
山本勘助は、今川と共謀し、信虎の暗殺を企てていたのです。
と、突然、青木大膳が武田信虎に切りかかり、信虎を叩き落しました。
叩き落された信虎は太刀を落とし、勘助もそれ以上切り合うことが出来なくなり、ここに、暗殺策は瓦解したのです。
後に、信虎は出家したと言われています。
当然、後に青木大膳は山本勘助に文句を言われますが、大膳はこう言ったと伝わっています。
「信虎死すとの沙汰なれば、武田が今川を攻めるは必定。さすれば仕官も叶わぬと知るべし。しらぬ世の人は我が行いを空気を読まざる沙汰と見るが、これは甚だ愚かな事である」
かくして、今川と武田の関係は良好になり、両者の同盟は、また強固なものになったのです。



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